ウェルビーイングとは?

2021/10/25


ここ数年で、“ウェルビーイング”という言葉が一気に広まっており、聞いたこともある方も多いと思います。

今回の記事では、ウェルビーイングの意味から、背景、そして、ビジネスにどんな影響があるのかを解説します。


ウェルビーイング(well-being)とは?

「ウェルビーイング」(well-being)とは、あなたが存在するだけでOKという状態です。

もう少し噛み砕いていうと、心身共に健康・社会的にも満たされた状態である、存在しているだけで幸福な状態 という意味です。

ウェルビーイングの始まりは、1946年のWHOの世界保健憲章

1946年にニューヨークで開かれた国際保健会議が採択した世界保健憲章(1948年4月発効)の原文ではじめてウェルビーイングという言葉がでてきたと言われています。

原文は、下記になります。

"Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity."

日本語に訳すと

"健康とは、完全な肉体的、精神的、社会的にウェルビーイング(well-being)の状態であり、単に病気や虚弱がないことではありません。"

となります。

この場合、ウェルビーイングは、「満たされた状態」と捉えるのが適切でしょう。


ウェルビーイングの反対語とは?

ウェルビーイング(well-being)の反対語は、well-havingやwell-doingと言われています。

well-havingとは、havingという言葉の通り、所有していることに価値を見出す考え方です。例えば、車やいい時計、家を所有する生き方です。学歴などもそうかもしれません。

well-doingとは、することに価値を見出す考え方です。例えば、仕事をすること、タスクを実施すること、勉強することなど、"やること"に価値を見出します。

ウェルビーイングはSDGsの中にも重要な位置付けにいる。

SDGs(Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標)は、聞いたこともある方も多いと思います。特にビジネスに関わる方は、SDGsへの貢献は無視できないものであり、重要視されていることと思います。

SDGsの中に、ウェルビーイングが明言されていることはご存知でしょうか?

SDGsの3番目は、"健康とウェルビーイング"

17つの目標がある中の3番目は、日本語では”すべての人に健康と福祉を”となっています。

英語の原文は、"GOOD HEALTH AND WELL-BEING" なのです。

"福祉"と訳されていることでウェルビーイングとは気付かないのですが、実はSDGsの原文に記載されるほど、ウェルビーイングは重要な位置付けある概念なのです。



ウェルビーイングが注目されている背景

では、どうしてウェルビーイングはここまで注目され始めているのでしょうか?大きな理由をご紹介します。

物質的な豊さかた、実感としても豊さへのパラダイムシフト

こちらのグラフをご覧ください。


1960年以降の日本国内で生み出されたモノやサービスの合計額を表すGDP(国内総生産)と幸福度を並べたグラフになっています。

戦後日本は急速な経済成長し、GDPは上がっています。ここ半世紀で生活はとてつもなく豊かになり、便利になりました。どこにいても安心な生活ができ、インターネットで世界中の情報にアクセスでき、美味しい食べ物をいつでも手に入れることができ、便利なものに溢れています。

しかし、これだけ"豊か"になっているにも関わらず、幸福度はほとんど変化がありません。年々うつ病などの精神病の患者は増え、自殺者も増加しています。

すなわち、**経済成長(物質的な豊さ)**を追い求めても、人々の幸福度は上がらないのです。

このような背景が、経済成長だけを追い求めるのではなく、幸福度など実感としての豊かさを追い求める一つの要因となりました。

GDPに変わるGDW(Gross Domestic Well-being)という指標。

長年、国の豊かさを評価するための指標としてGDP(国内総生産)が活用されてきたが、先述した通り、経済成長は必ずしも幸福につながっていません。

そこで、国連機関による世界幸福度調査で、ウェルビーイングの概念は着実に取り入れられ始めています。

その中でも特にGDW(Gross Domestic Well-being)は注目度が高まっている指標です。


出典:日本版 Well-being Initiative https://well-being.nikkei.com/


ウェルビーイングがビジネスに大切な理由。

これまでは、国レベルの大きなトレンドを説明しましたが、ビジネスに落とし込んだときのウェルビーイングの重要性を背景から説明します。

ビジネスにおいてのウェルビーイングが重要視されている背景

1 価値観の多様化


日本はもちろん、世界全体で働き方だけでなく、生き方そのものについての価値観が多様化する中、自分らしく働ける環境づくりが必要とされています。

終身雇用は徐々に置き換わり、若者を中心に価値観に合う組織を求め転職することが一般化しています。

特にミレニアル世代(1980年から1995年の間に生まれた世代)は、明らかに異なる価値観を持つと言われています。 企業に利益の追求だけでなく、社会課題(サステナビリティ、ダイバーシティなど)の解決を求めます。2025年ごろには、ミレニアル世代が社会の中心を占めるようになると言われています。

2 慢性的な人材不足


少子高齢化が加速し、中長期的に見て深刻な人材不足に陥ることが予測されています。

一方企業の求人ニーズは増加傾向していることから人材を確保する競争力が上がっています。

3 コロナウイルスの影響


新型コロナウイルスの世界的流行をきっかけに従来の価値観や働き方が大きく変化しています。リモートワークが増え、従業員同士の交流・コミュニケーションが疎かになりがちです。


ビジネスにおいてのウェルビーイングを実践するメリット

企業がウェルビーイングな状態を目指す取り組みを実施すると多くのメリットがあります。今回はその中から2つ取り上げます。

生産性・創造性の向上


端的に言うと、ウェルビーイングが企業の業績に影響を与えます。ウェルビーイングな状態を目指すと、業績が上がるのです。

幸福度の高い組織は、そうではない組織と比較して、生産性で30%、セールスで37% クリエイティビティーでは300%、の向上が認められています。 (出典:『Harvard Business Review』誌2012年1月-2月号『The Value of Happiness』特集記事「How Employee Well-Being Drives Profits」から)

企業がウェルビーイングな状態を目指し、働く社員が幸福になると共に、業績も上がっていくのです。

人材の定着率向上・離職率の低下


企業がウェルビーイングを実践し、従業員にとって居心地がよくなれば、幸福度が向上し、離職率が低下します。

また、多様な価値観を受け入れる風土が新たな人材採用にも貢献します。


今回の記事では、ウェルビーイングの説明から、ビジネスへの影響も解説しました。

Sonoligoは、文化の力でウェルビーングな組織を実現する法人様向けサービスも展開しています。文化という様々なコンテンツ(音楽、スポーツ、アートなど)を活用し、社内の交流・新しい刺激を増やし、ウェルビーイングな組織を作ることに貢献します。

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